鰍(いなだ)です。 2019年二発目は、至福の時『鮟鱇(あんこう)フルコース』です。 今回は、新潟県佐渡島産7.3kgの鮟鱇を4日間寝かせて、熟成させています。 前回、鮟鱇を食べたのは、2016/12/17だったので、およそ二年ぶりとなります。 鮟鱇、なかなか仕入れられなかったですからね……。 という訳で、貴重な鮟鱇をたっぷりと食べ尽くしますよ。
左側が鮟鱇の胃袋の辛煮です。 辛煮とは、生姜と出汁醤油で煮込んだ料理とのこと。 食感がふにゃ、とコリっ、の間。仄かに生姜の薫りと味がします。 私はお茶でしたが、酒飲みにはたまらないかも。 右側が天然の自然薯素麺です。 天然の自然薯山芋を素麺みたいに細切りにした料理です。 蕎麦みたいに汁に付けて食べます。 山芋が山葵と合いますねぇ。 汁に山芋をすっと潜らせて、甘みのある山葵を載せて食べると格別です。 山芋の味が引き立ちますね。 しゃきっとした歯触りも心地良いです。 この汁で、蕎麦をたらふく食べたい。
鮟鱇の背中の肉です。 鮟鱇を昆布締めにして、どぶ煮用の肝味噌が載せてあります。 鮟鱇は、酢飯よりも、白ご飯の方が美味いとのこと。 口の中に入れると、その身の柔らかさに驚きます。 咀嚼すると、肝味噌の力強い味が口の中に広がり、鮟鱇の身、ご飯と相まって、素晴らしく美味しいです。 もう、美味しくて、ふるふると尻尾を振りたくなるくらいです……。
鮟肝好きの私のために、がっっっっつり、二人前あります。 すみません、みなさま……。 この、何とも言えない色合いが美しいですね。 大将には、これを三口くらいで頬張る豪快さが欲しいと言われました。 まさに王様気分を味わえます。 肝は、超柔らかいです。 口の中に入れるとゆっくりと蕩けていきます。 甘みが口の中一杯に広がって、身悶えします……。 うめぇ……。 ちょっと泣きそうですね……旨くて……。 普通の和食屋さんや居酒屋で食べる鮟肝にあるような硬さや雑味や苦味などは、一切ありません。 ただただ、甘くて深いコクと旨味に溢れています。 幸せ過ぎる……。 しばらくの間、鮟肝の余韻に浸っていました。 次は、いつまた食べられるのでしょうか……。
鮟鱇の身は、ギリギリ中心の2mmだけレアに仕上げてあります。 レアのせいか、じゅわっとジューシーな感じがあります。
断面は、こんな感じです。このままだと余熱で中心まで火が入るそうですが直ぐに食べます。身は淡い甘味があって、美味しいですね。 そして、衣がさくさくで美味しいのです。 しっかりとあられの味も口の中で弾けます。バランスが良い。 二個目は、小田原の木成り完熟のレモンの汁をかけて味を変化させます。 レモンをかけると、控え目の酸味ですが、さっぱりした味わいになります。
山芋は、外側だけ高温でさくっと揚げて、1〜2mmだけ火が通っている状態になっています。 中は生です。芸術ですね。 こんな感じです。 外側はカリカリ、内側はホクホクだけれど、その後でネバネバがやって来ます。 食感の変化が面白いです。 衣は香ばしく、ややスパイシーな感じがして美味しく、中の山芋の味もしっかり感じられます。 揚げ物サイコー!です。
鮟鱇の肝味噌です。 大将が背を向けている間に肝味噌を舐めてみると、これだけでやばいくらい美味しいです。 大将と目があいました。にやりと笑ってました。これだけで白ご飯が食べたくなります……。 さて、まずは中火の弱火で、鍋底に擦り付けて回すようにして練ります。 初めは硬いですが、少しずつ柔らかくなっていきます。この火の入れ方で、 美味しさがだいぶ変わるらしいので、一生懸命、汗をかきかき練ります。 その後、次第にすごく芳しい薫りが立ち昇ってきます。
肝味噌を十分に練って、火が入ってくると、鍋底で肝油の脂がぷつぷつと鳴り始めます。 そして、火が入ったあたりで、またちょこっと肝味噌を摘まみます。 美味っ!。 このまま肝味噌を摘まんでいると鍋が完成しないので、名残惜しいのですが、 鍋にお出汁を注いでいきます。じゅわー。
出汁が投入された直後です。
そして、大量の鮟鱇の身と大量の野菜(豆腐、白菜、葱、榎茸)を投入し、ことこと煮ていきます。
そして、鮟鱇 どぶ煮の完成です。
このどぶ煮のスープが異様に美味しいですよねぇ。 味噌と鮟肝の融合が、たまらん。 鮟鱇は、黒い鰭の部分がぷるっぷるです。 ねっとりとした食感もいいのですが、甘みが濃くて美味しいです。 何より、このスープが美味しい……。 豆腐の断面に染み込ませると、豆腐が別次元の味に……。 葱も白菜も榎茸もスープを吸っていて、噛むと口の中にじゅわっと肝味噌味が広がります。 そして、濃いスープを少しだけ飲む。 分量的に、このループを四回くらい回せます。 途中で、ちょっと白ご飯を頂いて、スープを掛けて、鮟鱇鍋をおかずに鮟鱇ご飯を食べました。 まさに至福の時……。 九絵も超絶美味いですが、鮟鱇も超美味いなぁ。
途中、一味を投入して、少し味変します。 少し辛味を加えても、肝味噌の濃さは負けません。 ちょっと味が引き立ってきます。
食べ終わって、残ったスープの色合いすら美しいです……。 飲み干したいのをぐっと堪えて、おじやをお願いします。
最後は、おじやで〆ですね。
雑炊と違って、水分が飛んでいるので、味が濃厚です。 ねっとりとした肝味噌の味が凝縮されたご飯の味がたまらん……。 レンゲ無しで、普通に箸で持てますね。 一味は、最初はかけず、二杯目からかけると味が変わって良いです。 おじやは食べ進んでいくと、・・・・当たり前ですが・・・・・減っていきます……。 段々、名残惜しくなっていきます……。 最後は、強制的におにぎり一個分だけ残して、終了です。
手渡しなので、手に持ったまま激写です。 ティラミスになる前のチーズです。 これはこれで、美味しいですね……。 永遠に食べ続けたくなる濃厚な味のチーズです……。 お土産にいただいたおにぎりは、翌日胡麻油を敷いたフライパンで焼いて、焼きおにぎりにしていただきました。すっげえ美味しい。 いやぁ、鮟鱇のフルコース堪能しました。 九絵と鮟鱇のフルコースは、甲乙付けがたいですね。 次は、松葉蟹と聞いていますが、食運があれば出遇えるかもしれません。 しかし……どこのお大尽なんでしょうか、私。 大井松田のうまけりゃいい屋は、完全予約制となっています。 お越しの際は、事前にお店に、ご連絡ください。 ふぐ包丁師、日本料理専門調理師、鮨調理技能士の大将が心から持てなしてくれます。 |
奔り(はしり)、盛り(さかり)、名残り(なごり) それぞれの粋、それぞれの風味を堪能してください。
お料理から季節を知る、日本ならではの贅沢を感じていただければ幸いです。