造里(つくり) 居酒屋さんなどでもよくメニューにあるおつくり。 お刺身の盛り合わせを称して「おつくり」と呼ぶ事は皆さんよくご存知かと思います。 一般的にはお造りや御造りと表記されている事がほとんどだと思いますが、いかがでしょうか? 正しくは「造里」と書き表します。ご存知でしたか? ちなみに、Yahoo辞典で「造里」を検索しても該当なしです。IMEでも変換候補に表示されません。 どうも、すでにこの言葉は現代では「死語」として扱われているようです。 では、その意味について考えてみましょう。 漢字のまま解釈してください。「里を造る」と書いて「造里」です。 里を造る、とはどういう事でしょうか? もう一度、「おつくり」のお皿を思い浮かべてください。 もうおわかりですか? そうです、「おつくり」のお皿は「里」を表現しているのです。 白い大根のつまが「山」、緑の大葉が「林」、色とりどりのお刺身が人の住む「里」です。 お皿の上に里を造る、つまり「造里」という事です。 板前さんがその日の“とっておき”の素材で、お客様のために里を造り上げるのです。 料理屋で次に「造里」を前にする時には、箸をつけるまでの少しの時間、お皿を眺めて見てください。 ひょっとしたら、板前さんがあなたの為に、小川や海をつくってくれているかもしれません。 辛口の日本酒を前に、生まれ育った古里に思いを馳せてみる。 実はこんな事も和食の楽しみ方のひとつだったりすると思います。 さて今宵のお勧めは・・・ |
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なにげなく目にし耳にしてきた言葉でも、
改めてその意味を考えてみると、そこには新たな発見が。
言葉をつむぎ、時をつむぐ
目の前の一皿が紡ぎだす食の豊かさを感じていただければ幸いです。