ムラサキの大事さ

ムラサキの大事さ
さらに大事なもの


ムラサキ、とはお寿司屋さんではお醤油の事ですが、
何故、紫というかご存知ですか?
昔は、造りたてのお醤油は紫色をしていたからなんですね。
時間がたって酸化すると、色が茶色く、黒く変色していったんです。
搾りたての良いお醤油を例えて・・・・ムラサキ(色)と呼んだわけです。
現在の市販品のお醤油は、出荷される時に火入れをするので、
真黒ですけどね。

以前は僕の住んでいる田舎でも、
普通のご家庭で大豆からお醤油を作っている家庭が有り、
まだ絞りやさんと呼ばれるお醤油を絞る方がいらっしゃいました。

ここからは蘊蓄ですが、、、
お醤油は加熱する事によって香りが飛んでしまいます。
むせかえるようなお醤油の良い香りが記憶にある方も
居らっしゃるのではないかと思いますが、現在のお醤油は
先述の通り、火入れをしてあるのでむせかえるような香りはないですね。


そこで・・・料理屋さんに目を移すと、
ポピュラーな土佐醤油(鰹節で出汁を取ったお醤油)から始まり、
出汁ムラサキ(ダシムラサキ、こぶでお出汁を取った醤油)、
または、梅肉醤油や、肝醤油黄身醤油、など
その店独自のお醤油に造り直して使っている気のきいた板前さんも、
まだまだ居らっしゃいます。

うまけりゃいい屋も僭越ながら。
もちろんその季節にあったムラサキを塩分や、
甘味、だしの加え加減などを調節して年間8種類ほどご用意してある訳ですが、
こだわっているのは、
あえて火を強く入れて、わざとお醤油の香りを飛ばしていることです。しかし減塩。
更に突っ込めば、うまけりゃいい屋では鰹だしをほとんど使いません。
なぜならば、お醤油然り、カツオだし然り、
食材の香りを一番に楽しんで頂く為には、
鰹の香り、お醤油の香りはかえって邪魔になる時がある。
そう考えるからなのです。

お醤油はもちろん大事、お出汁ももちろん大事では有るのですが、
それよりも大事な主役は、ネタなのです。舎利なのです。
お醤油や、鰹節の香りが決して主役にならぬ様、
材料の吟味と同時に、調理法、技術にも細心の注意を払っているのです。


うまけりゃで修業した若い衆にしか教えて来ませんでしたが、
皆さんがお料理を作る時の心得としてここで一つお伝えします。